寂れた日記

曇り後

歩く

湿った雪が降り積もる、ただただ寒いばかりの閑散とした夜の青森。

シャッター街には自分以外の足跡がなく、もう何年も前の日焼けしたポスターにいつかの雑踏の残滓を見る。不健康に明滅する壊れかけの電飾看板、サビが浮き出たボロボロのガードレール。この路地は、きっと退廃的オーナメントがコンセプトなんだ。
博報社の前に名札が立て掛けられない日は無く、皆下を向いて空き家の前を通り過ぎる。このカビ臭い街には死が充満していた。

ここから出て行った若者は帰ってこないし、ここで死んで行った人達も帰ってはこない。少しずつ、少しずつ、かつて繁栄していた頃から死に向かって削られているような錯覚、もしくは発覚。

あぁ、でも、青森は歴史上いちども繁栄したことが無いんだったっけ。なら、最初からここは死の街だったか。いまさら、もうどうだっていいや。